木造住宅を検討していると、必ず目にするのが「在来工法」という言葉です。一方で、「ツーバイフォーの方が新しいのでは？」「在来工法は地震に弱いと聞いたけれど大丈夫？」と、不安や疑問を感じる方も少なくありません。

実際には、在来工法もツーバイフォー工法も、それぞれ異なる構造の考え方を持つ木造住宅の工法であり、単純に優劣で判断できるものではありません。大切なのは、工法の特徴を理解したうえで、自分たちの暮らし方や価値観に合っているかを見極めることです。

本記事では、在来工法の基本構造から、ツーバイフォーとの違い、メリット・デメリット、寿命や浴室など水回りとの関係までを整理します。建築家とつくる家を提供するYK HOMEの視点から、後悔しない構造選びの考え方をわかりやすく解説します。

 

在来工法とは？木造住宅の基本構造

在来工法とは、日本で古くから採用されてきた木造住宅の工法で、「木造軸組工法」とも呼ばれます。柱と梁、土台といった“軸組”によって建物を支える構造が特徴で、現在の戸建て住宅でも広く用いられています。

この工法の考え方は、建物を「点」と「線」で支えること。柱が垂直荷重を受け、梁が水平力を分散させることで、全体のバランスを保ちます。日本の気候風土や、間取りの変化に柔軟に対応してきた歴史のある工法です。

 

在来工法の構造的な特徴

在来工法は、壁に構造の役割をすべて持たせないため、間取りの自由度が高い点が特徴です。開口部を大きく取ったり、将来的に間取りを変更したりしやすい構造といえます。

一方で、耐震性や耐久性は「どのように設計し、どのように施工するか」に大きく左右されます。そのため、設計力と現場での施工精度が重要になる工法でもあります。

 

在来工法とツーバイフォー工法の違い

在来工法とよく比較されるのが、ツーバイフォー工法（枠組壁工法）です。両者の違いは、「どこで建物を支えるか」という構造の考え方にあります。

ツーバイフォー工法は、床・壁・天井を一体の“面”として構成し、箱のように建物を支える工法です。構造がシンプルで、一定の性能を確保しやすいという特徴があります。

 

在来工法とツーバイフォーの構造比較

在来工法は柱と梁で構造を組み立てるため、設計の自由度が高く、リフォームや増改築にも対応しやすい傾向があります。

一方、ツーバイフォー工法は壁が構造体となるため、間取り変更には制約が出やすい反面、施工の均一性を保ちやすいという側面があります。どちらが優れているかではなく、「どんな家をつくりたいか」によって向き不向きが分かれます。

 

在来工法のメリット

在来工法の大きなメリットは、設計の自由度が高いことです。柱や梁の位置を調整することで、敷地条件や家族構成に合わせた柔軟な間取りが実現しやすくなります。

また、将来的に間取りを変更したり、リフォームを行ったりする際にも対応しやすい点は、長く住み続ける住宅において重要なポイントです。

 

建築家設計と相性が良い理由

建築家が設計する住宅では、空間の広がりや視線の抜け、暮らし方に合わせた細かな工夫が求められます。在来工法は、そうした設計意図を反映しやすく、住まい手のライフスタイルに寄り添った住空間をつくりやすい工法といえます。

 

在来工法のデメリット

一方で、在来工法には注意点もあります。構造が自由である分、施工精度や現場管理によって品質に差が出やすい点です。

設計通りに施工されていなければ、耐震性や耐久性に影響が出る可能性もあるため、住宅会社や施工体制の見極めが重要になります。

 

施工精度で差が出やすい点

在来工法では、柱や梁の接合部、防水処理、断熱・気密の施工など、現場での丁寧な作業が欠かせません。設計と施工がしっかり連携しているかどうかが、住み心地や将来の安心感に直結します。

 

在来工法の家はどれくらい持つ？寿命の考え方

住宅の寿命は、工法だけで決まるものではありません。在来工法であっても、適切な設計と定期的なメンテナンスが行われていれば、長く住み続けることは十分可能です。

逆に、どの工法であっても、メンテナンスを怠れば劣化は進みます。

 

長く住み続けるために必要な視点

水回りの計画、換気の仕組み、点検のしやすさなど、暮らし始めてからの管理まで含めて考えることが、住宅の寿命を延ばすポイントになります。将来を見据えた設計が重要です。

 

在来工法と浴室・水回りの関係

浴室やキッチンなどの水回りは、住宅の中でも劣化しやすい部分です。在来工法だから問題が出やすいというわけではなく、重要なのは防水・換気・施工の丁寧さです。

 

浴室まわりで注意したいポイント

湿気がこもらない計画や、点検・メンテナンスがしやすい構造にしておくことで、長期的な安心につながります。工法よりも、設計と施工の考え方が大切です。

 

在来工法の見分け方

完成後に、在来工法かツーバイフォーかを見た目だけで判断するのは難しい場合が多いです。基本的には、設計図書や構造説明を通して確認することになります。

そのため、家づくりの初期段階で工法について説明を受けておくことが、後からの不安を防ぐポイントになります。

 

住宅会社に確認すべきポイント

「なぜこの工法を選んでいるのか」「構造についてどう考えているのか」を、分かりやすく説明してくれるかどうかは、住宅会社選びの重要な判断材料です。

あわせて、メリットだけでなく注意点や向き・不向きまで説明してくれるかどうかも確認しておくと安心です。

 

在来工法が向いている人・向いていない人

在来工法は、すべての人に最適というわけではありません。間取りやデザインにこだわりたい方、将来の暮らしの変化に柔軟に対応したい方には向いている工法といえます。

 

在来工法が向いているケース

• 敷地条件に合わせた設計をしたい

• 将来の増改築も視野に入れている

• 建築家と相談しながら家づくりを進めたい

 

他工法を検討した方がよいケース

• 仕様や工期を重視したい

• 規格化された住宅を希望している

• 設計の自由度よりコストや効率を優先したい

 

YK HOMEが考える在来工法という選択肢

YK HOMEでは、工法を目的として家づくりを進めることはありません。大切にしているのは、「どんな暮らしをしたいか」という視点です。

在来工法は、建築家の設計意図を活かしやすく、暮らし方に合わせた住まいを形にしやすい選択肢のひとつだと考えています。

 

構造より「暮らし」を優先する家づくり

デザイン・性能・構造のバランスを見ながら、納得して選ぶこと。それが、長く満足できる家づくりにつながるとYK HOMEは考えています。

構造はあくまで暮らしを支える手段であり、住まい手の価値観に合っているかが最も重要だと捉えています。

 

まとめ｜在来工法は“理解して選ぶ”ことで活きる

在来工法には、自由度の高さというメリットがある一方で、施工品質が重要になるという側面もあります。ツーバイフォー工法との違いは、優劣ではなく、考え方や暮らし方の違いです。

大切なのは、構造を正しく理解し、自分たちの価値観に合った工法を選ぶこと。YK HOMEでは、構造ありきではなく、暮らしに合った家づくりを大切にしています。